子どもたちは次の世代を担っていく社会の宝であり、希望です。
けれども、少子化が進み、急激な変化が起きている社会の中で、子どもたちは伸び伸びと育っているでしょうか。


子どもたちが自分らしく健やかに成長できる社会を創るために、
大人たちが手を取り合い、社会全体で彼らの健全な成長を見守ることが今後ますます必要になります。
まずは、日本で難しい状況に置かれている子どもたちの現状を知ることから始めてみませんか?

親と離れて施設や里親等のもとで暮らす子どもたち

社会的養護とは

親と離れて暮らす子どもたちは、日本に約42,000人おり、社会的に養護されています。
社会的養護とは、様々な理由で親と暮らせない子どもたちを、公的責任で保護し、社会的に養育するとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行うことです。社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体でこどもを育む」を理念として行われています。

社会的養護について社会的養護 |こども家庭庁

親と離れて暮らす理由

親の健康面や経済面での理由や、両親の離婚や不和、虐待などが挙げられます。
時代の変遷につれて「虐待」の割合が増え、平成15年度以降はトップとなり、平成30年度には約半数の子どもたちが「虐待」を理由に親元を離れています。里親に委託されている子どもたちのうち約40%、乳児院に入所している子どもたちのうち約40%、児童養護施設に入所している子どもたちのうち約70%は、被虐待体験があります。
※こども家庭庁資料集「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」より

暮らしている場所

社会的養護下で暮らす約42,000人の子どもたちのうち、約82%が児童養護施設や乳児院などの施設、約18%が里親やファミリーホームで暮らしています。
※こども家庭庁資料集「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」より

施設養護

乳児院

乳児(特に必要な場合は、幼児を含む)を対象とした施設
▷ 全国乳児福祉協議会のホームページはこちら

児童養護施設

保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童(特に必要な場合は、乳児を含む)を対象とした施設
▷ 全国児童養護施設協議会のホームページはこちら

児童心理治療施設

家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を対象とした施設
▷ 全国児童心理治療施設協議会のホームページはこちら

児童自立支援施設

不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を対象とした施設
▷ 全国児童自立支援施設協議会のホームページはこちら

母子生活支援施設

配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を対象とした施設 
▷ 全国母子生活支援施設協議会のホームページはこちら

自立援助ホーム

義務教育を終了した児童であって、児童養護施設等を退所した児童等を対象とした施設
▷ 全国自立援助ホーム協議会のホームページはこちら

家庭養護

里親

家庭における養育を里親に委託 
▷ 全国里親会のホームページはこちら

ファミリーホーム

養育者の住居において家庭養護を行う(定員5~6名)
▷ 日本ファミリーホーム協議会のホームページはこちら

親と離れて暮らす子どもたちの将来

施設や里親等のもとを巣立ったら?

子どもたちの多くは、施設や里親等のもとを巣立った後は、経済的、精神的に自立して生きていかなければなりません。
自立するまでの道のりは決して平坦なものではなく、子どもたちは大いに悩みながら、希望を胸に、しかし時に諦めながら、就職や進学など大きな決断をしていきます。自立した後は、例えば一人暮らしする中で、親などの保護者に経済的、精神的な支えを求めることが難しかったり、周りの大人に助けを求められなかったりすることもあり、一人でトラブルを抱え込んでしまう場合もあります。

子どもたちの進学率は?

〈高校等卒業後の進路(令和3年度データ)〉
児童養護施設で暮らす子どもたちは、高校を卒業した後、38.6%が大学や短大、専門学校等に進学し、53.8%が就職しています。里親のもとで暮らす子どもたちは、高校卒業後、60.6%が進学し、29.4%が就職しています。
全高卒者の77.1%が進学することと比較すると、かれらの進学率が極端に低いことがわかります。しかし、近年は、進学にチャレンジする子どもたちも少しずつ増えています。
※こども家庭庁資料集「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」より
進学を選択しない理由は、さまざまありますが、進学にかかる経済的な負担や、アルバイトと学業の両立などの精神的・体力的負担が子どもたち自身に重くのしかかることも理由の一つとして挙げられます。
2020年4月から国が「高等教育の修学支援新制度」を開始し、場合によっては、施設や里親のもとで暮らしていた子どもたちの大学や短大、専門学校等の授業料等は減免されるようになりました。しかし、依然として、大学生活にかかる費用は自分でまかなう必要があり、大きな経済負担になっています。

社会に出る前に少しでも生きていく力を

大半の若者は、社会で初めて遭遇する場面において、少なからず戸惑うことでしょう。同様に今まで施設や里親のもとで暮らしていた子どもたちが、高校を卒業して社会に出た際、社会の常識や社会で必要な基礎知識を知らない場面に出会った際に戸惑うことは容易に想像できます。このような小さな躓きが自信喪失につながってしまうこともあるかもしれません。
社会に巣立つ前に、かれらに、病院のかかり方、ビジネスシーンにおける化粧の仕方やスーツの着こなし方、お金の管理方法、冠婚葬祭の知識などを自然と身に付ける機会があれば、そこで身に着けたことは社会に出た時に支えの1つになるでしょう。
2022年4月から、成年年齢が18歳に引き下げられたことで、かれらが社会に出てすぐに、大人としての判断を求められることが格段に増えました。18歳の若者が、適切な判断ができるよう、今後ますます自分で考える力を身に付けることが求められます。施設や里親を巣立つ前に、一般的な社会知識を知っておくことが、社会での躓きを少しでも減らすことにつながるかもしれません。

子どもたちの育ちを支える人々

施設職員や里親は、子どもたちを育てるプロフェッショナルです。
子どもたちが、安心して暮らし、他者に対する基本的信頼を獲得できるよう、また、心の傷の回復のために、かれらの育ちを様々な面からサポートしています。子どもたちが健やかに成長していくためには、子どもたちと常に向き合いながら育てる人々の情熱と大変な努力が必要不可欠であり、子どもたちの生活は職員や里親の温かいサポートによって支えられています。

子どもたちのケアには高度な専門性が必要

社会的養護を必要とする子どもたちのケアは、日々の丁寧な営みの積み重ねによって行われています。子どもたちの中には、心の傷を抱えていたり、これまでの環境が影響して様々な課題を抱えている子も少なくありません。また、近年、知的障害や発達障害等を抱える子どもたちが増加しており、里親においては約25%、児童養護施設においては約37%が、障害等を抱えているといわれています。
※厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査結果」(平成30年2月1日)より
施設職員や里親は、逆境的な体験をしてきた子どもたちの回復と成長を支えるためにも、日々の生活を大切にするとともに、専門性を基にしたケアや養育を行うことも求められています。

施設に求められる役割が増えている

乳児院や児童養護施設は、施設で暮らす子どもたちやその保護者へのケアだけではなく、地域で暮らす家庭への支援等、多機能化が求められています。そのために、さらに専門性を高めていくことが期待されています。

<支援対象の拡がり>

  • 里親
  • 地域で暮らす支援が必要な家庭 など

子どもたちと親を社会が支える必要性

お母さん、お父さんが子育てしやすい社会にしていくこと、さまざまなかたちの家族が受け入れられる社会を創っていくことは、子どもたちの健全な成長のために不可欠です。

核家族化が進み、地域のつながりが希薄化する現代では、困窮状態に陥った親子の存在は、いとも簡単に見えにくい存在になってしまいます。親子の孤立を防ぎ、またたとえ社会的に孤立してしまったとしても、親子が行政機関や民間機関による支援のセーフティネットに辿りつけるよう、子育て家庭を気にかけ、お互いにつながりを持つことができる地域社会の構築が必要です。

活用できる地域の支援

知っておこう!子どもを守る選択を

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