児童福祉の充実と向上を願い歩んだ50年

いつの時代も、子どもたちは「社会の宝」です。
資⽣堂⼦ども財団は、1972年の設立から、時代の要請に合わせて⼦どもたちに関する課題を解決するために、様々な取り組みを行ってきました。
「⼦どもたちが希望を持ち、⾃ら歩むことができる社会を実現したい」という思いは、今も変わらないものです。

設立経緯

資生堂は、創業100周年記念事業として、社会への利益還元を目的に、財団法人を設立しました。

1921年に洋装の子ども服を展示した「子供服と鏡台陳列」展の開催や1922年に月刊誌『オヒサマ』の刊行など、古くから子どもにゆかりのある数々の活動を行ってきた資生堂が、児童福祉特化型財団を設立したことは、とても自然なことでした。

(写真左)株式会社資生堂 第6代社長 岡内英夫
(写真右) 月刊誌『オヒサマ』

⼦ども‧児童福祉に
関する時代背景

資⽣堂⼦ども財団の
取り組み

1970

福祉の必要性が叫ばれた時代

高度経済成長期を経て、国⺠の⽣活が豊かになっていくと同時に、福祉的な支援が必要な人たちに、社会が目を向けるようになりました。
しかし、最新の福祉事情に関する情報は十分とはいえませんでした。

時代をあらわすキーワード

「およげ! たいやきくん」(1975)・家庭内暴力・インベーダーゲーム(1978)
・ベビーホテル・竹の子族・家庭内離婚(1980)

児童手当制度発足(1972)

19724

財団法人 資⽣堂社会福祉事業財団 設⽴
(現 公益財団法人 資生堂子ども財団)

1973

資生堂児童福祉海外研修を開始(~現在)

⼦どもの⼈権が尊重されていた当時の福祉先進国の事情を学ぶため、児童福祉施設の中堅職員を対象にした海外視察研修を始めました。

1973

子どもや母性に関する調査研究を刊行(~1984年)

当時の日本は経済的な繁栄を遂げる一方で、児童福祉への取り組みはまだ一部の人たちだけの間で行われていたことから、時代に応じたテーマを選び、調査研究を委託し刊行しました。

1974

児童福祉に関わる国内研修を開始(~現在)

国または地方自治体の施策を支援し、児童福祉に携わる職員の知識や専門性を高めるための様々な研修会を開始しました。

1974

全国⾥親功労者表彰を開始(〜現在)

なり手の少ない里親の方々の労を労うため、毎年開催される「全国里親大会」において献身的な里親の功労表彰への助成を開始しました。

1975

情報誌「世界の児童と母性」を刊行(~2022年)

児童福祉の問題が⽇本のみならず、海外でどのように考えられ、どのような取り組みがされているのかについて、情報を発信するために刊⾏を開始しました。

国際児童年(1979)

1980

女性の社会進出が進んだ時代

女性の社会進出が増える一方で、働くお母さんを支える保育施設の整備は一向に進んでいませんでした。
1980年にベビーホテル(夜間や休日に働く母親が利用していた認可外保育施設)での乳幼児の死亡事故が相次ぎ、翌年、夜間保育、延長保育が制度化。この時代、社会全体で子育てを行う風土の芽が生まれ始めましたが、”子育ては母親の仕事”という認識は根強くありました。
女性が差別を受けずに、家庭と仕事が両立できるよう作られた法律である「男女雇用機会均等法」は1986年4月から施行されました。

時代をあらわすキーワード

『積木崩し』(1982)・おしんブーム(1983)・10代の妊娠(1987)

 ディンクス・子連れ出勤(1988)・1.57ショック(1989)

児童福祉法改正(1981)
認可外施設の監督強化、延長保育

1982

設立10周年記念 「10年の歩み」を刊行

1988

母親セミナーを開始

[ 1993年におかあさんセミナー、2001年に子育てセミナーに改称し、2010年まで継続。2011年からは全国の児童家庭支援センターが主催する子育てセミナーへの助成に変更し、現在に至る。]

子育てに対する不安やストレスを一人で抱え込んでいるお母さん・お父さんたちをサポートするためのセミナーを開始しました。

1988

アジア太平洋地域諸国児童福祉交流研修
を開始

[ 2013年に「東アジア児童福祉交流研修」に改称し、現在に至る。]

日本を含む東アジア諸国の児童福祉職員が、交流研修を通じて福祉活動の知識や経験を学び合い、連携を深め、そして児童福祉水準の向上を図ることを目的に開始しました。

国連による「子どもの権利条約」
採択(1989)

1990

子ども福祉向上への機運が高まった時代

1994年、日本で「国連子どもの権利条約」が批准されました。

子ども福祉向上の機運が高まり、子どもの人権擁護・救済のための公的第三者機関である子どもオンブズマンの制度の導入や、子どもの権利条例の制定を行った自治体もありました。

1997年に成立した改正児童福祉法では、保育制度の改正、児童福祉施設の名称と機能の見直し、地域の相談支援体制の強化(児童家庭支援センター創設)、児童相談所の機能強化などが定められました。

時代をあらわすキーワード

「クレヨンしんちゃん」(1993)・熟年離婚(1993)・PTSD・オウム(1995)

 夫婦別姓・晩婚(1996)

1992

設立20周年記念事業 児童福祉国際シンポジウムを開催し、社会的養護下で暮らす子どもたち向け読本を刊行

世界で最も人権意識が高いとされているカナダのモントリオールで、里親、グループホームなどに養育を委託されている子どもたちに当時配られていた「児童の権利・義務ガイドブック」を邦訳し刊行しました。

日本「子どもの権利条約」
批准(1994)

1994

国連の国際家族年事務局より表彰を受ける

国連が制定した1994年の「国際家族年」に向けて、「世界の児童と母性」35号(1993年10月)で「国際家族年」を特集し、その啓発に取り組んだこと、また設立以来の当財団の活動が評価されました。

児童福祉法改正(1997)
児童家庭支援センター創設

2000

児童虐待防止への取り組みが進んだ時代

1990年代より深刻な社会問題として取り上げられてきた児童虐待。

2000年の児童相談所における虐待相談対応件数は、統計を取り始めた1990年の1,101件に比べて10倍以上に増加し、17,725件に達しました。虐待によって命を落とす、あるいは心身へ重大な悪影響を及ぼす子どもたちへの被害を防ぐために、2000年、「児童虐待の防止等に関する法律(以下、児童虐待防止法)」が成立。その後も法改正が重ねられ、児童虐待防止への対応が強化されていきました。

時代をあらわすキーワード

児童虐待(2000)・9.11米国同時多発テロ(2001)・ゆとり教育(2002)

「冬のソナタ」(2004) ・リーマンショック(2008)

児童虐待防止法成立(2000)

2002

設立30周年記念事業
「子ども家庭 福祉・保健用語辞典」を刊行

福祉を学ぼうとする人々、現場の実務者の人々まで幅広く活用してもらうための辞典を刊行し、関係機関に寄贈しました。

少子化社会対策基本法成立(2003)

2005

全国児童家庭支援センター実務者研修への助成を開始(~現在)

里親への支援や市区町村と連携した地域支援において重要な役割を担っている児童家庭支援センターの実務者研修への助成を開始しました。

2005

「社会への巣立ちフェスティバル」を開始(~現在)

社会的養護下で暮らす首都圏の高校3年生を対象に、卒業を祝う会の開催を開始しました。

2007

設立35周年事業として「資生堂社会福祉事業財団奨学金」を開始

[「資生堂子ども財団奨学金」に改称し、現在に至る。]

社会的養護下で暮らす子どもたちが、大学・短大・専門学校に進学するための費用を助成する奨学金制度を開始しました。

2009

オレンジリボン運動への助成を開始(~現在)

全国の児童家庭支援センターが主催するオレンジリボン運動(イベント)への助成を開始しました。

2010

子育て家庭に対して更なるケアが必要とされた時代

日本が「子どもの権利条約」を批准してから22年。

2016年に児童福祉法が改正され、「子どもの権利条約」を基本理念とすることが明記されました。2000年代に入り、少子化対策のためのさまざまな施策が展開されましたが、依然として保育サービスの不足は解消されず、「保活」(子どもを保育園に入れるための活動)といった言葉が登場。共働き世帯が増加する一方、「ワンオペ育児」という言葉に象徴されるように、家事や育児の負担はまだ女性に偏っている傾向がみられました。また、児童虐待は依然として大きな社会課題であり、2015年には児童相談所全国共通ダイヤル「189」の運用が始まりました。

時代をあらわすキーワード

東日本大震災(2011) ・「今でしょ」(2013)・ブラック企業(2013)・インスタ映え(2017)

2010

内閣府より公益財団法人として認定を受ける

2010

子育て応援webサイト「はぐりぃ らぶりぃ」を開設(~現在)

子育て中の悩みや不安を軽減して子どもたちの健やかな発達と成長をサポートするための、 脳科学の知見に基づいた子育てノウハウや情報を提供するwebサイトを開設しました。

2010

社会的なスキルやコミュニケーションについて学ぶ自立支援講座を開始

[ 2013年から「スターターズセミナー」に改称し現在に至る。]

社会的養護下で暮らす子どもたちが、高校を卒業するまでの間に、自立して生活するために必要な金銭や社会のルール等を専門家から学ぶセミナーを開始しました。

2011

社会人として必要な身だしなみを学ぶ美容セミナーを㈱資生堂と協働で提供

笑顔の大切さを学ぶとともに、スキンケアや社会人として相応しいメイクアップ、ヘアケア、ボディケアなど、実際に化粧品を使いながら学ぶ講習を提供しました。

2013

設立40周年記念事業
児童福祉国際シンポジウムを開催

「地域における社会的養護のこれから」をテーマに、行政・大学関係者・福祉協議会関係者・施設関係者・学生を招いてシンポジウムと講演会を実施し、児童福祉の今後のあり方について一石を投じました。

2013

自立に役立つスマホ版情報サイト「そらまめガイド」を公開

2013年に「そらまめガイド①基礎編」を公開後、2014年に「そらまめガイド②ビジネスマナー編」、2022年に「そらまめガイド③冠婚葬祭編」を公開しました。仕事のことや人には相談しにくいカラダのこと、冠婚葬祭のマナーなどイラスト付きでわかりやすく解説しています。

児童福祉法改正(2016)
子どもが権利の主体に

子どもたちが希望をもって生きていける社会の実現を目指し、
資生堂子ども財団とともに子どもを支える仲間を探しています。

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