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2024年度 資生堂児童福祉海外研修フォローアップセミナーを開催しました【9/13(金)】

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資生堂児童福祉海外研修フォローアップセミナーとは

児童福祉の最前線で活躍する海外研修の修了者が研修から得た最新の知見を共有し、議論を加えて発展させ、参加者同士が施設種別や役職を超えて交流を深める企画です。

2024年度は以下の通り、開催しました。
今年度は海外研修修了者に加え、児童養護施設や乳児院、児童家庭支援センター等の職員の方にも参加いただきました。セミナーでは、第48回海外研修団員の研修報告や児童福祉の専門家によるシンポジウムを実施し、日本の社会的養護が担う役割や方向性について議論を深めました。

<開催概要>

開催日時 2024年9月13日(金)
開催形態 ハイブリッド
(㈱資生堂汐留オフィスでのリアルとオンライン開催)
参加者 76名(リアル19名、オンライン57名)
プログラム

第一部 第48回 資生堂児童福祉海外研修報告(ニュージーランド)
第二部 シンポジウム「ニュージーランドの取組みから日本を考える」
 ●テーマⅠ「地域に根差した子どものパーマネンシーを大切にする社会的養護について」
 ●テーマⅡ「子どものアドボカシーについて」 
 ●テーマⅢ「フロントラインワーカー(現場職員)のウェルビーイングについて」
第二部 シンポジウム「日本の社会的養護を考える」

第一部・第48回 資生堂児童福祉海外研修報告(ニュージーランド)

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  • 発表者
    鈴木 聡美氏 (児童養護施設わこう 家庭支援専門相談員)

    研修報告として、ニュージーランドの概要、行政、アドボカシー機関、子どもと家族を支援する多機能な民間機関について紹介されました。多様な文化を包含するニュージーランドの社会と児童福祉の特徴は、子ども、若者、子どもに関わる全ての人の「ウェルビーイング」が重視されており、制度、施策は全ての人を守ろうとするものであったこと、多数の支援機関が地域の家族に寄り添い、多様なニーズに対応すべく複合的サービスを展開していたことなどを挙げました。ニュージーランドの取組みをヒントに、日本においても子どもの問題を一人で抱えるのではなく、関係機関が互いに手を取り合い、社会全体で「共に子どもを育てていく」協働養育の実現のために
    重層的な地域ネットワークシステムの構築をするべきではないかと述べました。
    最後に鈴木氏は、「子どもと家族の支援者として、一人ひとりの子どもや家族の人生に携わることに責任を持つこと。そして関わった子どもや家族との時間は、次なる関係機関にバトンという形で確実に手渡すことで、その子が自分語りができるための重要な架け橋となることを忘れてはいけないと感じた」と語り、発表を終えました。

第二部・シンポジウム「ニュージーランドの取組みから日本を考える」

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  • 進行
    河尻 恵氏 (第48回 海外研修 団長 / 日本福祉大学 福祉経営学部教授)
  • コメンテーター
    髙橋 温氏 (第45回 海外研修 特別講師 / 新横浜法律事務所 弁護士)
    髙橋 誠一郎氏 (第49回 海外研修 団長 / 至誠学舎立川 児童事業本部副本部長・事務局長)

    シンポジウム1では3つのテーマについての発表を踏まえて、ニュージーランドと日本の社会的養護についての議論が展開されました

テーマⅠ 「地域に根差した子どものパーマネンシ―を大切にする社会的養護について」

  • 発表者
    中垣 真通氏(第48回海外研修 特別講師 / 子どもの虹情報研修センター研修部長)

    「パーマネンシー保障」の基本的な説明とともに、日本におけるパーマネンシーとニュージーランドで感じたパーマネンシーについて語られました。ニュージーランドでは「パーマネンシー」という言葉自体は聞かなかったものの、それがないがしろにされておらず、
    「カルチャー」という言葉にその意味が含まれているのではないかと指摘。社会的養護となった子どもは養育環境の安定を求めるが、アイデンティティ確立のためには、ルーツの尊重をより重視しているのではないかと述べられました。精神文化を語り継ぐことが世代をまたいだ自らの系譜の継続性につながり、それこそがニュージーランドのパーマネンシーと言えるのではないかとの考察がありました。

テーマⅡ 「子どものアドボカシーについて」

  • 発表者
    作田 惇人氏 (第48回海外研修 団員 / 岡山聖園子供の家 児童指導員)

    ニュージーランドでは、子ども福祉の根拠法となるオランガタマリキ法や全国ケア基準において、法定の子ども福祉サービスの提供にあたり、子どもや若者の参加と意見が重視されていると述べました。意見聴収の方法も子どもの年齢や状況に応じて複数あること、若者当事者グループが多数存在し、それぞれがユニークな活動を展開していることが紹介されました。作田氏は、アドボカシー制度の整備が急務である日本においても、ニュージーランドのような全国共通水準でのアドボカシー実践の仕組みが必要だと述べ、子どもに最も近い存在の施設職員としても社会的養護の子どもたちのアドボカシーが当たり前になるよう努力していきたいと締めくくりました。

 

テーマⅢ 「フロントワーカー(現場職員)のウェルビーイングについて」

  • 発表者
    阪本 博美氏(第48回海外研修 団員 / つつじが丘学園 自立支援担当職員)


    ウェルビーイングに対する意識が高いニュージーランドの文化的、歴史的背景を説明し、フロントラインワーカーのウェルビーイングが現地で「大切な要素」だとされていることを、「メンタルヘルス」「労働条件・福利厚生」「人材育成」などの側面から論じました。子どものウェルビーイングについては、子どもに関わる機関の協働が欠かせないと訴え、それがひいてはフロントラインワーカーのウェルビーイングにもつながっていくと強調しました。

第二部・シンポジウム「日本の社会的養護を考える」

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  • 登壇者
    河尻 恵氏、中垣 真通氏、髙橋 温氏、髙橋 誠一郎氏
  • 特別ゲスト
    藤澤 陽子氏 (こども家庭庁 社会的養護専門官)

    シンポジウム2では第48回海外研修(ニュージーランド)の学びと日本での実践を踏まえながら、議論を展開しました。
    シンポジウム1で議論した内容をまとめ、登壇者はそれぞれの立場、視点から、「パーマネンシー」「アドボカシー」「子どもの権利擁護」「ウェルビーイング」について語りました。会場参加者からの意見も交えながら議論は進み、日本の社会的養護を考える時間となりました。

セミナー参加者の声

「日本の課題にあわせた、現地の状況報告でわかりやすく、勉強になりました。」
「パーマネンシー、アドボカシー、ウェルビーイングといったポイントに絞った話題提供と、それに対する先生方の視点が今の日本の現場にも共通する部分が多く、学びになりました。」

来年度のフォローアップセミナーでは、2024年度海外研修(アメリカ合衆国 ニューヨーク州)で得られた学びを報告予定です。
次回の開催報告をお楽しみに。

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