第46回
【2021年度】フランス研修(オンライン研修)

フランスは、少子化対策の成果が出た国として知られています。第46回研修では、日本が目指す出生レベルにあるフランスにおいて、周産期からの家庭と子ども支援の理念と概要、課題解決のための取り組みを学びました。また多様なあり方、生き方を包摂するフランス社会では、福祉施策は、さまざまなニーズに応じるために、児童社会福祉、司法、警察、医療、官民多くの支援機関が、重層的なサービスを提供しています。児童福祉においては、家庭での養育に対する手当、サポートは日本に比べて手厚い体制です。今回の研修では、問題発生の未然防止、早期発見と介入、支援と治療、再発防止といった段階に応じた対応を学び、特に予防的支援のあり方と包括的な支援提供のネットワークの中で、児童福祉施設が果たすべき役割について議論しました。
さらに特別プログラムとして、教育虐待や児童保護の経験が綴られた『父の逸脱 ピアノレッスンという拷問』(2017,新泉社)の著者セリーヌ・ラファエル氏(医師)、同書解説ダニエル・ルソー氏(児童精神科医)とのセッションも実施しました。
研修参加者は、児童養護施設職員5名、乳児院職員1名、児童心理治療施設職員2名と施設長1名、子どもの虹情報研修センターセンター長1名の10名でした。新型コロナウィルス感染症の影響で渡航研修ができなかったため、研修地であるフランスと日本をオンラインで結んだリモート研修を行いました。研修は、エコール・ド・ハヤマ(資生堂湘南研修所)における2泊3日の集合研修を2回と、参加者が自宅や勤務先から参加したオンライン研修3回(研修日8日間)に分けて実施しました。

記事作成日:2022年12月
訪問国 | 訪問地 | 視察先 | |
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フランス |
パリ |
ODAS地域社会活動国家観測機関 |
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AFIREM児童虐待問題に関する情報提供および調査研究 |
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GIPED危険な状態にある児童のための公益団体 ONPE全国児童保護観測機関 SNATED危険な状態にある児童のための全国電話相談受付サービス |
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CRIP75パリ市社会福祉児童保健局 児童福祉課内 憂慮情報収集室 |
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ANRS全国社会復帰支援協会 青少年教育支援部 |
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ルレ・アレジア(里親支援機関) |
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パリ市社会福祉児童保健局 児童福祉課内 子どもの権利と養子縁組事務所 |
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アルパ‐フィルドール(養親サポート団体) |
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チルドレンズホーム フォワイエ・メラング |
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MECS社会的児童ホーム フェリックス・フォール |
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DPJJ司法省内青少年司法保護局 |
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UEHC非行少年入所型集団教育ユニット |
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セーヌ=サン=ドニ |
CER93強化教育センター(非行少年教育施設) |
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パリ |
ピエール・ジョルジョ・フラサティ小学校(不登校支援) |
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MDA青少年の家 ソレンの家 |
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ロベール・ドゥブレ大学病院内移動チーム エキップ・モビール・エスパー |
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BPMパリ警視庁 未成年保護部隊 |
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アンジェ |
ダニエル・ルソー氏(児童精神科医)(児童保護研究、嬰児殺の歴史) |
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パリ |
セリーヌ・ラファエル氏(医師、虐待被害当事者) |
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安發明子氏(フランス家庭福祉研究者) |
※報告書に記された順番、名称や表現に準じて記載
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