第8回

【1980年度】アメリカ研修

  • シェアする

  • ツイートする

  • LINEする

養護施設職員11名と施設長1名、母子寮職員4名、乳児院職員6名、厚生省課長補佐1名の23名が、15日間の日程で、児童処遇における施設と地域社会、児童の特性に応じた生活指導方法をテーマに、アメリカのサンフランシスコとデンバーを中心に19ヵ所の視察を行いました

児童処遇における施設と地域社会、児童の特性に応じた生活指導方法

1909年、ホワイトハウスで「子どもは、やむを得ない理由がない限り、家庭生活から引き離してはならない」と宣言されてから、アメリカでは要養護児童の支援には家庭保護が最優先され、やむを得ない場合は里親家庭、次にグループホーム、最後に施設への措置が選ばれていました(第5回研修ご参照)。報告書では、日本の施設中心の児童福祉施策は、戦後混乱期の家や家庭を失った子どもの福祉のために整備されてきたもので、家庭養育の良さに対する基本的認識に日米とも大きな違いはないとしつつ、児童処遇にあたり参考とすべき点と、疑問を持った点が挙げられていました。参考にすべき点は、支援の対象となる子ども一人ひとりの考え方や行動を十分に見極めたうえで、児童に最も適した処遇プログラムを策定されていたことで、日本の場合、子どもの支援の方針が施設職員主体で進められていないか反省の余地があるとしていました。疑問に思った点は、家庭に近いかたちで子どもを処遇する考え方には賛成できても、重度の障がいや非行などの課題を抱えた子どもに対して本当にそれが有効かということで、施設が持つ専門性や機能を活用することの必要性が提起されていました。

報告書では、コロラド州のソーシャルワーカーから「母子への支援は日本の方が進んでいて、母子施設を作る時に日本を参考にした」という話を聞き、日本の母子福祉を誇りに思ったというエピソードが語られていました。そして、まだ設立5年あまりのひとり親家庭向けの施設ウォーレンビレッジでは、自立支援計画をきちんと立てて利用者のニードにこたえるきめ細かいサービスを行っていたこと、専門的知識を持ったケースワーカーの配置などの組織的な処遇が行われていたことを紹介し、日本の母と子を一組と考えて支援をしてきた母子福祉の歴史を傲る事なく、今後も努力していきたいという抱負が述べられていました。
(写真は、デンバー社会福祉局)。

記事作成日:2021年3月

訪問州 訪問地 視察先
カリフォルニア州 サンフランシスコ サンフランシスコ社会局
罷免された専業主婦センター
アンドリュージャクソン学校(一時保護所附属学校)
サンフランシスコ市少年裁判所、青少年相談所
エッヂウッドホーム(情緒障害児施設)
コロラド州 デンバー イーストサイド社会福祉事務所
デンバー市社会福祉局
デンバー市少年裁判所
デンバー市社会部・虐待児童保護センター
チャイルドオポチュニティー施設(就学前教育)
ヒューマンサービス施設(未婚の母の家)
ウォーレンビレッジ託児所(ひとり親家庭収容施設)
デンバー子供の家(情緒障害児施設)
聖ビンセントホーム(情緒障害児施設)
グループホーム(6ホーム)
フォスターホーム(6ホーム)
デンバー市社会福祉施設部精神衛生課児童プログラム(青少年精神病院)
デンバー市青少年課マウントビュースクール(非行児収容施設)

デンバー市発達障害課リッジ州立ホーム(精神薄弱・身体障害者総合施設)


※報告書に記された名称・表現で記載

第8回 資生堂米国児童福祉研修団報告書

1980年8回

第8回 資生堂米国児童福祉研修団報告書

  • シェアする

  • ツイートする

  • LINEする

一覧へ戻る

トップ戻る