第4回

【1975年度】ヨーロッパ研修

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教護院の職員10名と管理職2名からなる教護院班と、児童館と子どもの国の職員10名と児童館館長2名からなる児童館班の2つのグループ構成で、22日間をかけ、イギリスなど5ヵ国で、教護院や少年司法施設、保育・教育、医療、福祉施設など合計37ヵ所(教護院研修18ヵ所、児童館研修19ヵ所、うち合同研修2ヵ所)の視察を行いました。

教護院班研修

研修では、少年司法行政、少年院のほか、数多くの教護院を集中的に視察しました。

イギリスでは、1969年子ども若者法(Children and Young Persons Act)により、国営施設だった教護院は地方自治体に権限移譲がなされ、Community Homeと呼ばれるようになりました。犯罪を犯した少年の審判はものものしい青少年裁判所から有識者による地方審議会に委ねられ、犯罪少年への処遇は処罰から教育へと変化していました。

研修団は、ソーシャルワークや親子関係と外部社会とのつながりを重視した施設、子どもが安心感を持ち、秩序あるコミュニティで人間関係を大事にして生活することを学べるよう努めていた施設などを視察し、参加団員の施設でも始まっていた子どもの一時帰宅や保護者の協力を得るなどの実践、対話を大事にする姿勢などとの共通した方向性を確認しました。(写真は、入所児童が他人のニードや気持ちを認められるようになることを目指していたSaint Christopher's Community Home(イギリス)の個人のプライバシーや共同生活に対するニードと施設の活動や設備のあり方を図式化したもの)。

報告書では、職員と入所児童個々の人間関係を大事にした実践が、感化思想の基本に通じる、といった言及もありました。

児童館班研修

研修では、保育所、幼稚園、学校、児童館、児童遊園、児童家庭相談所、児童財団、医療機関(小児科心理部門)や心理治療施設、養護施設や母子施設など多岐にわたる種別の施設や機関を視察しました。

報告書では、遊びは子どもの生活の中心で人格形成にも影響する重要な要素であるとして、子どもの立場に立った、子どもの可能性が十分に発揮できるような遊び場の環境づくりや取り組みを数多く紹介しました。(写真は、自然の地形を利用したオーミンゲ児童遊園でソーセージを焼く少年たちの様子)。
訪問先の多くは、充実した設備、手厚い人員体制、豊富な遊具と教材に恵まれていました。これについて報告書では高い国民負担率を前提にした充実した社会保障制度が背景にあるとして、高福祉国家を築き上げてきた国と国民の努力に対する敬意を表していました。また、ヨーロッパでは子どもの問題に対して子どもと両親が同時に指導を受けているとして、両親のなかでもとりわけ母親に、または学校や行政に子どもの問題を任せがちな日本との差も指摘しました。

記事作成日:2021年3月

訪問国 訪問地 視察先
イギリス ロンドン Prison Department Headquarters(内務省刑務部)
H.M.Borstal Dover(少年院)
Cumberlow Lodge(国立女子短期教護院)
The Royal Philanthropic Society(教護院)
Saint Christopher's Community Home(教護院)
Toynbee Hall(総合社会福祉事業施設)
The Child Guidance Training Center(市立児童指導訓練センター)
The Thomas Coram Foundation for Children
(児童財団)
Coram's Field and the Harmsworth Memorial Playground(児童遊園)
Syon School for Boys(国立男子中学校)
スウェーデン ストックホルム Stockholms Socialnamnd(ストックホルム市社会福祉局)
エンチェピング Eknas Skolhem(国立女子教護院)
ストックホルム Spangaby Playground(市立児童遊園)
Husby Gard(市立遊園)
ナッカ Kvaren Halsingehojdens(市立保育所兼幼稚園)
Kvarnen Barnshuga(市立保育所兼児童館)
Orminge Playground(市立児童遊園)
Branhalls Garden(市立少年センター)
デンマーク フンデステッド Behandlingshjemmet Solager(国立教護院)
スキビー Skibbyhoj(国立教護院)
コペンハーゲン Sct. Stefans Fritidshjem(市立助言診療所)
Jacob Michaelsens Minde(市立養護施設)
ネールム Egevang(準国立教護院)
コペンハーゲン Kennedy Gord(市立児童館)
Sct. Stefans Radgivsingscenter(児童余暇センター)
Skrammellegepladsen i Emdrup(児童遊園)
オーストリア ウィーン Bundesministerium fur Justiz(連邦司法省)
Jugendgerichtshof Wien(少年裁判所)
Lehrlingsheim der Stadt Wien Leopoldstadt(市立教護院)
Heilpedagogik Station Kinderklinik der Stadt Wien Universitatsklinken(市立総合病院小児科心理部門)
Kinder Krankepflegeschulen(同病院小児科看護婦養成所)
SOS-Kinderdorf(養護施設)
(不明) Sonderanstalt fur Jungendliche Gerasdorf
(国立少年院)
フランス パリ Administartion General de l'Assistance Publique a Paris(パリ市社会福祉局)
Center Medico-Psycho Pedagogique(児童精神医学教育センター)
Creche et Garderie(市立保育所兼幼稚園)
Protection Maternelle et Infantile Marie Becquet de Vienne(市立母子施設)


※報告書に記された名称・表現で記載

第4回 ヨーロッパ社会福祉研修団報告書

1975年4回

第4回 ヨーロッパ社会福祉研修団報告書

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