第45回

2019年度
ポーランド、ベルギー研修

今から 90 年前、ポーランドの小児科医ヤヌシュ・コルチャックは、その著書「子どもの権利の尊重」のなかで、「子どもは、希望と夢をもって自分の世界に生きる、自らの権利をもつ人間である」と述べました。1989 年に成立した「国連子どもの権利条約」は、このコルチャックの思想と実践を原点に作られています。
第45回研修では、「子どもの権利」を研修テーマの中心に据え、その起点となるポーランドと、ヨーロッパのなかでも権利擁護の推進に力を入れてきたベルギーで、子どもの権利擁護の原点と展開、今後の展望、ベルギーにおける妊娠期から始まる家族と子どもへの包括的な予防的支援などの先進的活動、ベルギーとポーランドの社会的養護の現状と課題を学びました。

研修参加者は、児童養護施設職員6名、乳児院職員1名と施設長1名、母子生活支援施設職員2名、児童自立支援施設職員1名、児童心理治療施設職員1名、児童家庭支援センター1名、弁護士1名の14名でした 。研修日程は13日間でした。

子どもの権利、予防的支援、児童保護対応と社会的養護

ポーランドでは、コルチャックが設立した養護施設併設の「コルチャック研究所」を皮切りに、子どもの権利を守るオンブズマン、命を救うための赤ちゃんポスト、人間の尊厳が失われたアウシュビッツなどを視察/見学し、さまざまな側面から「権利」について考えました。ベルギーでは、虐待対応関連の制度と支援の現状から、子どもの権利をどう守り、最善の利益をどう実現するかをより具体的に議論しました。(写真は、福祉的要素を備えた医療施設クレール・ヴァロン小児医療センター(ベルギー)での講義の様子)。

両国ともに憲法に子どもの権利に関する規定が盛り込まれ、オンブズマンや、デレゲ総代表といった子どもの権利を代弁するための仕組みがあり、現場においては同意に基づく支援を目指した実践がなされていました。また妊娠期からの手厚い支援や子どもの日中支援、成人への無料支援などによる子どもと家族を支える予防的支援が実施されていました。ベルギーワロン・ブリュッセル連合では、子どもの権利の尊重を最優先とするため、2018年、司法介入による強制措置はできるだけ避けて当事者と家族の合意を得て福祉的支援を行うことや、予防を第一として在宅支援を優先とすることなどを定めた「予防・児童支援・児童保護法」が採択されました。報告書では、理念が具体的な実践として実体化してきている印象があると記されています。

訪問国 訪問地 視察先
ポーランド ワルシャワ コルチャック研究所
ナシュドム協会(児童養護施設、その他サービス)
子どものオンブズマン事務所
OPS社会福祉センタープラガ南地区
WOIKワルシャワ危機介入センター
TPD子どもの友協会
ロレートの聖母修道女会 命の窓(赤ちゃんポスト)
カトリック養子縁組センター
オフィシエンチム アウシュビッツ=ビルケナウ国立博物館
ベルギー ブリュッセル
オランダ語共同体サービス
Kind en Gezin(子どもと家族庁)
ブリュッセル
フランス語共同体サービス
ONE(出生児童事務所)
SOS子どもチーム(虐待対応)
AGAJ(青少年支援局)
ジャック・ブケ氏(元裁判官)
ヤニック・ニナエ氏(里親)
ジョン・フォーゲル氏(乳児院院長)
アリス・ウッド氏(乳児院心理士)
パラン・アミ(第2の家庭パレナージュ推進団体)
アソンプション学院ボアフォール校(幼稚園併設小学校)
ワロン地域
フランス語共同体サービス
アマラージュ(児童福祉サービス提供団体)
コロンビエ(児童養護施設)
アタランテゥ(緊急一時保護所)
クレール・ヴァロン小児医療センター
ブリュッセル ミッシングチルドレン・ヨーロッパ(行方不明児童対応)

※報告書に記された順番、名称や表現に準じて記載