第32回

2006年度
アメリカ研修

海外研修に対しては、研修後すぐに活用できる処遇技術の習得を要望する声がかねてからありました。第32回研修では、初めての試みとして訪問先を限定した専門技術講座を企画し、コロラド州エバグリーン市にある愛着治療・訓練所(ATTI)で「修復的愛着療法」研修を、オレゴン州セーレム市で児童虐待予防プログラム「オレゴンヘルシースタート(健康な出発)」研修を行いました。
<主な研修内容>
(1)ATTIでの修復を目的とした愛着療法技術研修
  ・講義 反応性愛着障がいと癒しの親業について
  ・演習 愛着障がいのアセスメントの技術、愛着を深めるコミュニケーション法、
      人生脚本の書き方、養育的抱擁過程、癒しの親業、ロールプレイ
(2)オレゴン子どもと家庭協会における、
  ・「ヘルシースタート」のための各種プログラム
  ・「ヘルシースタート」プログラムを実践している家族支援ワーカーについて家庭訪問
  ・被虐待児を癒す緊急保育所の見学等
研修参加者は、児童養護施設職員6名と施設長1名、乳児院職員1名、母子生活支援施設職員1名、児童自立支援施設職員1名、情緒障害児短期治療施設職員1名、児童家庭支援センター2名の13名でした 。研修日程は15日間でした。

「愛着の絆~その結び方と修復について」、
虐待予防策「オレゴンヘルシースタートプログラム」

アタッチメント治療・訓練所(Attachment Treatment and Training lnstitute)では、養育者や施設職員と、傷ついた子どもの愛着をどのように結び直すのかといった修復技術習得を主眼においた研修を受けました。虐待を受けた子どもたちのケアと、新たな親子関係の構築に向けた援助として大きな効果をもたらした治療過程をつぶさに学びました。この療法は、ホールディングやサイコドラマ、ロールプレイング、また、熊のぬいぐるみ(小さい頃の自分)をメタファーとして使うインナーチャイルドという技法を用いるもので、参加した団員が過去の自分と対話し涙する場面などもありました。

虐待とネグレクトを半減させたオレゴンヘルシースタートプログラムの研修では、親指導の大切さやアメリカ児童福祉の現状を把握することができました。(写真は、ヘルシースタートプログラムの家族との面接のロールプレイの様子)。
アメリカでは、こうした質の高いプログラムが民間団体によって開発され、プログラム認証機関の承認をうけ、訓練を受けたスタッフによって実施されていました。行政はプログラムの予算化と評価を行うだけでした。報告書の団長報告で、太田一平研修団長は、日本でも今後プログラム開発やそれを認証する専門機関が必要になってくるであろうこと、これができることで施設のアカンタビリティーが向上し、職員の専門性の向上につながるだろうと期待を述べていました。

訪問州 訪問地 研修先、研修項目
コロラド州 エバグリーン市 愛着治療・訓練所 (ATTI)研修
「修復的愛着療法」
・愛着の基礎理論と研究(アセスメントについて)(HTP、SCT、ライフスクリプト、ケース研究1)
・愛着治療(癒しの過程)(ケース研究2、いらしの親業)
・愛着治療(ケース研究3、ACTほか)
・愛着治療(養育的抱擁の演習ほか)
オレゴン州 セーレム市 オレゴン州「ヘルシースタート」研修
・愛着の絆(人間の脳、脳神経の発達回路についての演習)
・ヘルシースタートプログラムの研修
・行政説明、講義(親業を楽しむ)
イースターシールズ・オレゴン子ども組合
カトリックコミュニティサービス
セーレム病院産婦人科

※報告書に記された内容に準じて記載