第31回

2005年度
カナダ研修

カナダ西部のブリティッシュ・コロンビア州で研修を行った第30回研修に続き、第31回研修では再びカナダを訪問し、オンタリオ州とケベック州で「カナダ東部の児童虐待予防策と児童福祉現場の実態」をテーマに、研修を行いました。主な研修内容は、児童福祉制度の概要、コミュニティベースの虐待予防プログラムとサービス、早期介入、早期幼児教育、家族への支援プログラムとサービス、再統合支援プログラム、政府機関と民間機関の児童虐待予防ネットワークでした。

研修参加者は、児童養護施設職員6名、乳児院職員2名、児童自立支援施設職員2名、情緒障害児短期治療施設職員1名、児童家庭支援センター1名の12名でした 。研修日程は15日間でした。

カナダ東部の児童虐待予防策と児童福祉現場の実態

カナダでは1970年代後半から児童虐待への関心が高まり、社会的な問題に発展していました。連邦政府と州政府、関係省庁と民間機関は、手立てを講じるために連携し、地域の子育て支援の充実を進め、多角的側面から調査・研究活動を行ってきました。研修では、その支援システムや具体的なサービスプログラムなどについて学びました。報告書では、子どもを虐待から守るため、カナダでは、家族の力の強化、早期教育、周産期における孤立の防止にフォーカスがあてられていたと総括しています。

早期教育とケアに対しては、連邦政府が予防的観点から「未来の子どもにお金をかける」として、5年間で50億CAドル(日本円にして約5,200億円)を投資する方針を打ち出していました。その予算のうち、11億CAドル(1,144億円)がオンタリオ州に拠出されており、オンタリオ州政府としても子どもの早期教育とケアに力を入れていました。またケベック州では、調査によって、州内の低所得家庭で、デイケアが受けられなかった子どもの40%が高校を中退していたことが分かりました。幼児期から平等に教育を受けられるよう、州政府はデイケア利用費の控除枠を拡大し、保育に教育的な要素を取り入れるなどサービスの充実を図っていました。

早期教育は、子どもがそれに参加することで、家庭でのリスクを発見しやすくなり、虐待と親子分離の予防にもつながるとされていました。早期教育プログラムには、どんな子どもも受ける事ができるものと、ハイリスクの親子を対象にしたもの、移民の子どもを対象にしたものなどがありました。子どもと家族の問題が深刻化、複雑化する前に問題の解決を図ることができるだけではなく、また、重大な課題を抱える生活になってしまった場合の支援にかかるコストを考えると、早期にこうしたプログラムを提供するほうが経済的であるという点も強調とされていました。
(写真は、カナダ赤十字の虐待防止プログラムのワークショップの様子)。

訪問州 訪問地 視察先
オンタリオ州 トロント オンタリオ州子ども青少年サービス省
カナダ健康省トロントオフィス
オタワ オタワ子ども援助協会(CASO)(地域活動、就学前サポート、早期児童教育、児童虐待防止策)
カナダ児童福祉リーグ (CWLC)
(カナダ児童福祉の中心機関)
カナダファミリーリソースプログラム協会 (FRP協会)
(カナダ国内の子どもと家庭のウェルビーイングの促進策、児童虐待防止策)
始め良ければ未来良し
(貧困家庭の子どもや親などへの虐待防止プログラム)
トロント 子ども家庭アドボカシー事務所
ペイプ少年資源センター (PARC)
(インケアの青少年の自立支援機関)
オタワ 東オンタリオ子ども病院(CHEO)センターオブエクセレンス・子どもと青少年のメンタルヘルス
ミシサガ カナダ赤十字(虐待防止プログラム)
トロント 子ども発達研究所
(子どもの発達、早期介入、家庭内暴力へのプログラム)
ケベック州 モントリオール ケベック人権及び青少年の人権委員会
(インケアの青少年のための虐待防止及び人権擁護の対策)
ブロサード 保健及びソーシャルサービスセンター(CSSS)
セントフバーツ 幼児センター (CPE)
(乳幼児の早期教育、家庭援助、早期発見を可能にする社会サービス)
モントリオール ケベック青少年センター協会 (ACJQ)
ウエストマウント バットショウ青少年家庭センター
(虐待防止と家庭再統合及び自立支援のプログラム)

※報告書に記された順番、名称や表現に準じて記載