第13回

1986年度
アメリカ研修

いじめや登校拒否、非行の多発など、当時の日本の子どもをめぐる問題は、要養護児童が抱える課題に影響を与え、施設で子どもを支援する職員には、専門的知識と処遇技術の向上がいっそう強く求められていました。第13回研修では、施設長を補佐する主任クラスの養護施設職員11名と施設長1名、厚生省課長補佐 1名、短大講師1名の14名が、15日間の日程で、アメリカで視察を行い、青少年問題とそれに対応する支援機関、施設養護から家庭養護へ変革が進む児童福祉の実情を学びました。

施設養護と家庭養護

アメリカでは、暴行、強奪、強姦、殺人などの犯罪の増加、薬物、離婚の増加、失業者の増加などの社会問題が、子どもの誘拐、児童虐待、ネグレクト、若年妊娠などの要養護児童発生の原因になっていました。報告書では、こうした深刻な状況のもと、アメリカでは、里親、さまざまな福祉施設、グループホーム、緊急保護施設、一時保護所など、多様なニーズに対応するサービス機関が用意されていることが報告されていました。(写真は、里親委託になった子どもを対象にした相談電話のポスター(ニューヨーク))。

例えば、ロサンゼルスの短期緊急一時保護施設は、身体的虐待や性的虐待、またはネグレクトの被害を受けた18歳までの子ども200人を収容する施設で、300人の専門職員が24時間体制で対応していました。広大な敷地に管理棟、保育棟、居住棟、学校、図書室、屋内外の運動場やプールなどがあり、充実した医療サービスと地域ボランティアの活動が特徴でした。またこうした大規模施設がある一方で、養護されている6人中4人の子どもが重度の障がいを持っていて、胃チューブなどの医療的行為を行っていたスモール・ファミリー・ホームもありました。このホームの家庭は看護師の母親と2人の娘の3人家族で、母親は「障がいがあっても、家庭環境の中でケアされることがこの子にとっては必要」と強調していました。さらに、ニューヨークの10代の未婚の妊婦のための施設と10代の母と子のための施設では、入所中の母親が学校に通いながら、家事や育児、自立のための訓練を受けていました。施設にはソーシャルワーカーや指導員がおり、必要に応じ専門の医師が来ていました。施設は定員いっぱいで、アメリカでの若年妊娠が社会的問題であることを研修団が肌で感じた場所となりました。

研修では、数多くの施設を訪問しましたが、広い敷地、整備された建物と設備、プライバシーに配慮した居室、さらに精神科医、心理判定医、看護師、ソーシャルワーカーなどの専門職員が治療的ケアを行っていたことが共通していました。

訪問州 訪問地 視察先、講師
ニューヨーク州 ニューヨーク Louise Wise Services
(子どもとその家族のための総合補助機関)
Residence for DevelopmentallyDisabled Children
(精神発達、情緒障がいをもつ児童のための居住ホーム)
Maternity Residence
(十代の未婚の妊婦のための居住ホーム)
Mothers and Babies Residence(母子居住ホーム)
New York Foundling Hospital(捨て子養育院)
Dr. Helen M. Grob(音楽療法についての講義)
ウェストチェスター Westchester County Department of S㏄ial Services
(ウェストチェスター郡社会福祉局)
Cardinal MacCloskey, Hayden Residence
(緊急一時保護所)
White Plains Children's Center
(デイ・ケア・センター)
カリフォルニア州 ロサンゼルス County of Los Angeles Department of Children's Service (DCS)(ロサンゼルス郡児童福祉局)
Children's Baptist Home of Southern California
(短期居住治療施設)
Children's Institute International
(デイ・ケア・センター)
McLaren Children's Center
(郡立短期緊急一時保護施設)
Hillsides(短期情緒障害児施設)
Hollygrove(児童養護施設)
Foster Family Home by Mr. and Mrs.Rahmeyer
(フォスター・ファミリー・ホーム)
Small Family Home by Ms. Gladys Poindexter
(スモール・ファミリー・ホーム)

※報告書に記された名称・表現で記載