INTERVIEWインタビュー

鈴木 ゆかり 様

株式会社資生堂 代表取締役 常務/資生堂子ども財団評議員

多様な人々が自分らしく活躍できる社会の実現を

――資生堂の社会価値創造の活動において、資生堂子ども財団への支援はどのように位置づけになりますか。

資生堂はダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営課題と位置づけています。多様な社員と多様性を包摂する企業文化を目指していますが、この課題は社内のみならず、私たちが社会に貢献できる分野としてもとらえています。事業活動や社会貢献活動を通じて、多様な人びとが自分らしく生きられる、自分らしく活躍できる社会の実現に貢献したいと考えています。資生堂子ども財団の活動もその取り組みの一部として、子供たちの自立支援を行い、彼らが自分らしく社会に旅立ち、活躍するための重要な役割を担うものと位置づけています。

――資生堂にとってダイバーシティ&インクルージョンはなぜ重要なのか、その中で「自立支援」になぜ力を入れるのか教えてください。

資生堂のミッションは「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」です。美の力を信じて人々が幸福を実感できる、サステナブルな社会の実現を目指しています。グローバルな自立支援活動としては、「クレ・ド・ポー ボーテ」ブランドが国連児童基金(ユニセフ)と協働し、社会的な障害で進学が閉ざされがちな国の少女たちを対象に、STEM(科学・技術・工学・数学)教育を促進する支援活動を2020年より、またSTEM教育に貢献した人たちを褒章する「パワー・オブ・ラディアンス・プログラム」を2019年より実施しています。
日本国内では、資生堂子ども財団が50年前より社会的養護が必要な子どもたちに支援を行ってきました。子供たちは未来を支える重要な社会の宝です。こうした子どもたちを支えることによって、多様な人びとが自分らしく活躍できる社会の実現に繋げていきたいと考えています。

―「子供たちが自分らしく輝く社会」に必要なことは何だと思われますか。

まず子育て家庭を孤立させないよう、社会全体でお父さん、お母さんたちを見守り、子どもたちが安心して育つことができる環境を作ること、また親を頼ることができない子供たちには、未来に希望を持ってチャレンジできる環境を提供することです。これらの環境整備に関しては、個人や企業を含む社会全体が持てるリソースを生かして支援することが必要で、そのためには子どもたちを取り巻く厳しい環境を社会全体が理解することが重要です。残念ながら、子どもたちを取り巻く環境の厳しさは改善しておらず、さらに厳しさの質も変化しています。まずは、支援が必要な家庭や子どもたちの存在を認識することから始まると思います。

――今年で設立50周年を迎える資生堂子ども財団に対して何を期待されますか?

児童福祉特化型企業財団のパイオニアとして経験を積み上げてきたことを生かして、これからも業界をリードするとともに、今後は他企業との連携も深めて活動のレベルアップをしてほしいと思っております。社会全体の中で、まだまだ子供たちを取り巻く環境の厳しさに関する理解が不足しています。社会に向けた啓発活動により、子育てをみんなで支援する機運を作っていくことも、財団の大きな役割ではないかと思っています。資生堂の社会貢献の重要な柱であるダイバーシティ&インクルージョンに繋がる活動として、今後さらに具体的な成果があがることを期待しています。

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